いつかきっと夏の夜道を


昼のギラつく光線もおさまり
ようやく
まともな呼吸で歩ける時間になる

もしも
あなたが隣にいたならば

時々目と目を合わせるだけで

きっと
ほとんど何も言わない

歩く速さを合わせてくれれば
それでいい

前と足元だけを見て
夜の街の匂いを感じて


匂いは
心地いいものなんかじゃなく

湿っぽくて
ちょっと腐りかけの
昼の太陽の残像が残っているような
そんな匂い

あなたが隣で歩いているならば
記憶に刻まれ

同じ道を通るたびに
同じ季節をめぐるたびに
思い出すもの


ねぇ

隣を
同じ速さで歩いてほしいの

今は
先になったり
後になったり

ううん
まったく別の道が
用意されているようなふたりでも

いつかきっと隣を
同じ速さで歩いて

いつかきっと
夏の夜道を













ガマ 「まりこさん! 危ない!」

…歩きスマホは厳禁です。

(やってないよ?)