「生皮 あるセクシャルハラスメントの光景」井上荒野著、書評。ちょっと苦しい読書だけどおすすめ。心が元気な時に。

 

重いテーマです。

読む「時」は選んだほうがいいかもしれません。

あらすじは、こちらで確認してください。
 ↓ ↓ ↓
Amazon.co.jp: 生皮 あるセクシャルハラスメントの光景 : 井上荒野: Japanese Books

 

セクハラ、性暴力。

受けた人、した人、家族やまわりの人たち、SNSの人たちが描かれていきます。

誰の何が悪い、こうすべきだ、こうすべきだった、などの押しつけがましさがなくてよかったです。

どの立場のどの人をみても、もし自分が同じ状況なら同じようにするかもしれないな、と感じました。

何年も経ってから、「どうして今なんだ、なぜ今になって言うんだ、その時に言わないのだ」と、周囲から声が上がることがあります。

その時は、言えないのです。

時が経ち、あふれてしまって限界になり、ようやく出せる、出てくることはあるのです。

暴力は、「強」から「弱」へとおこなわれるもの。

自分より強い者にはおこなわないでしょう。

「強」「弱」は不変ではなく、変わりえます。

自分が「弱」であるという事実も、人を苦しめます。

これくらいは何でもないことなんだ、そう思おうとします。

自分を守るために。

誰にも知られたくないと思っているのと同時に、ここにいる誰も私の身に起きたことを知らないのだという思いも、人を苦しめます。

など、起きたことがらと心を追っていくうちに、いろんな思いでいっぱいになりました。

なぜタイトルが「生皮」なのか。

なるほどなぁ…と。

よけいなことは一切言わずに被害者に接してくれる人がいて、印象に残りました。

主要登場人物ではないのですが。

 

いろんな人間の姿を知るのも、私にとっての読書の意味です。

ちょっと苦しい読書でした。

でも、読めてよかった。

おすすめです!心が元気な時に。

 

生皮 あるセクシャルハラスメントの光景
井上荒野 著

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