「春にして君を離れ」アガサ・クリスティー著、書評。映し出される絶望よ。名づけて絶望カウンセリング。

 

名作と名高い「春にして君を離れ」

読み終えた後しばらく本の世界から戻ってこれなかった。

恐ろしい。

暗黒、絶望、孤独、人の心の矛盾。

 

「誰かのために」「よかれと思って」という気持ちが一番危険なのではないかと思えてくる。

 

Aさんにとっていいはず、というのは「私が」「自分が」思ったにすぎない。

本当にAさんのためになっているのか、誰にもわからない。

どんなに客観的に考えようとしても、人生という時間の中で本当に最善だったかなど、誰にもわからないのだ。

この限界を恐ろしいほどに突きつけられる。

 

アガサ・クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で書いた本は、結婚や恋愛をテーマにしている。

 

絶望、暗黒、孤独、矛盾。

映し出される絶望に絶望を感じたりもする。

人のことも自分のことも、わからないしわかり合えない。

 

けど同時に「自分の人生を生きていこう」「生きていける」という思いも浮かび上がらせてくれるのが不思議。

 

絶望の中でも生きる限りは生きていく、

どうするかは自分が選べばいい、

選んで実行する力もある、

と思えてくるのだ。

名づけて絶望カウンセリング。

(私が勝手に名づけました。笑)

アガサ・クリスティー&メアリ・ウェストマコット、大好き!

おすすめです!

春にして君を離れ
アガサ・クリスティー
中村妙子訳
早川書房
 ↓ ↓ ↓
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名セリフ!
「不幸だから、どうだっていうんだね?
たいていの人間は不幸だよ、(中略)
この世の中を渡って行くには、勇気がいる。
勇気と朗らかな心がね。」

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