「金沢城のヒキガエル」キミはキミ、ボクはボク

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ヒキガエルは、可愛い。

 

くりっとした目、

きゅっと締まってちよっとへの字気味なんだけど、 時に微笑んでいるようにも見える口元、

ぷにっとしたお腹、

細い腕から伸びた先には、 小さな小さなモミジのような手、

のんびりゆったり歩いていたかと思うと、 本当は意外に素早く動けたりする。

 

お腹の模様なんて、個体それぞれ違うんですよ!

真っ白もいるし、うにょうにょっと、見事な模様を描いてるのもいる。

周りのカエル仲間と、それを「うにょ柄」と呼んでいる。

ヒョウ柄に匹敵するくらい、おしゃれな模様だ。

 

ヒキガエルについては、誤解も多い。

ヌメヌメしてるんじゃないか、とか、べとべとしてるんじゃないか、とか。

 

そんなことはない。 お腹なんて、もちもちふっくら。

こんな頬っぺただった頃に戻りたい。

適度にひんやりしているから、 暑い時なんてずーっと持っていたい。

いや、カエルが体温調節できなくて迷惑するから、しないけど。

 

ヒキガエル好きは、矛盾した気持ちを抱えてる。

 

ひとつは、

こんなに可愛いヒキガエル、たくさんの人に魅力を知ってもらいたい!

という、人と通じるものをもちたい、当たり前の気持ち。

 

もうひとつは、

こんなに可愛いヒキガエル、自分(と少数の人)だけの秘密にしておきたい…!

みんな、知らないんでしょ~、へへ~ という、マニアな気持ち。

みんながみんな、

「ヒキガエルって可愛いよね~」

「アズマヒキガエル派? ニホンヒキガエル派?」

だの言い始めても、なんだかな… て感じ。

 

矛盾した気持ちを抱えつつ、この本は勧めたかった。

 

金沢城のヒキガエル」 競争なき社会に生きる

奥野良之助 平凡社

 

キミはキミ、ボクはボク、の個人主義に惹かれる方はぜひ。

ヒキガエルLOVEの方も、もちろんぜひ。