福岡フェスタでギター弾き語りをした。かさこ氏作詞作曲曲を2曲。1曲目の途中で、突然、記憶から歌詞が消えた。

今回、暗譜で目を開けて歌う、を
自分に課していた。

どのように歌ったら「より伝わるか」を
私なりに考えて、そうすることにした。


練習と本番は違うということも
知っている。

やっとこさっとこどうにかできます、
という状態を
見てもらう意図ではない。
本番でもちゃんとできるように
してきたつもりだった。


自分は本番に強いとも思っている。
実際今まで、本番で
積み上げてきた力を発揮できなかった
という経験はない。


…はずだったけれども、
覚えているはずの歌詞が
いったん頭から飛び始めたら、
それは止まらなかった。


自分に何が起きているのか
よくわからなかった。

結局、スライドに映した歌詞を
振り返って見たり、
また暗譜に戻したりを繰り返した。
なんとか1曲目「人間動物園」を
歌い終えた。


その時点で、2つの選択肢があった。

1つは、自分に今まで
経験したことのない
非常事態が起きているのだから、
安全策をとる。
つまり、2曲目を
スライドを見ながら歌うことにする。

もう1つの選択肢は、
2曲目も暗譜で挑むこと。

挑むというほどのことではないように
準備してきたはずだったのに、
突然、挑むレベルの事態になった。


私は、2曲目も暗譜にした。

瞬時の判断だった。


2曲目「くらげの歌」は、
どうやって歌いきったか
ちゃんとした記憶がない。

やはり途中で歌詞に詰まってしまった
記憶はある。
途中で歌い直したような気もする。

覚えているのは、
ただただ夢中だったこと。

くらげの歌を歌いながら、
今まで歌った中で一番
自分の心に響くのを感じた。

歌詞そのものが、
まさに今の私だ、と思った。


終わって、友人と少し話したら、
泣けてきてしまった。

くやしい。
くやしい。
くやしい。


その後、かさこ氏の
弾き語りライブがあった。
私は、パワポのスライドを
めくっていく担当だった。

今までにないほど、
歌詞が胸に刺さってきた。


明日死んでも
悔いのない人生といえるかい?
 「忘れゆく3.11」より


かさこ氏のライブも終わり、
私はいったんホテルに戻った。

1時間以上、
涙が止まらなくなってしまった。

とにかく泣ききってから会場に戻った。
その後はフェスタでも懇親会でも
大丈夫だった。

いつも通りの私でいられたと思う。


しかし、ひとりになって振り返ると、
また泣けてきてしまう。



弾き語りを聴いてくれた
私の友人たち、
今回友人になった人たちは、
異口同音に
とても良かったと言ってくれる。

私の全体の姿が、
とても良かったのだと。

とても私らしくて、
とても伝わってきたのだと。


皆の温かさが心にしみた。


それでも、今回、私は、
とてもくやしいし、
心が揺さぶられている。
思い出すと涙が止まらない。